BIMの最前線を10分で伝えられるか?
2015.12.10
ArchiFuture's Eye 大成建設 猪里孝司
先日、初めて駒場祭に行ってきた。「10分で伝えます! 東大研究最前線」という企画が大変
面白かった。博士課程の学生が中心となって企画したようで、文系、理系のさまざまな分野か
ら29タイトル、3日間で74回のプレゼンテーションが行われた。私は14タイトルしか聞けな
かったが、初めて聞く話や新たな切り口による解説がとても新鮮で、文系、理系を問わず科学
の面白さを再認識した。10分というのはなかなかいい設定である。聞く方は気軽に参加でき、
要点だけを聞くことになるので強く記憶に残る。話し手は大変だが。どのプレゼンテーション
も生活や社会との接点から、研究の意義や最新動向を簡潔に分かりやすく説明しようと奮闘し
ていた。科学のアウトリーチの一つとして評価したい。
それほど頻繁ではないが、BIMを意義や現状を話す機会がある。多くの場合、その対象はBIM
のことを知っている人、もしくはBIMのことは知らなくても仕事として建築に関わっている人
である。背景説明や用語の解説などをある程度省略しても、本題に入ることが出来る。それで
もBIMのことを伝える難しさを痛感している。そこで、BIMにも建築にも関わりがない人に
10分でBIMの最前線を伝えることができるか、10分しかないとすればBIMの何を伝えるかを
考えてみた。
BIMは建築をデジタル情報化する基盤だと伝えたい。情報通信技術の発展は私たちの生活や
社会に大きな影響をおよぼしており、今後も変わることはないだろう。建築や都市が社会性を
保つためには、情報通信技術との親和性を高めることが必要であり、建築のデジタル情報化は
避けて通れない。建築の設計、施工そして運用には数多くの人が関係している。それぞれが独
自にデジタル情報を作成し限られた範囲で利用しても、その効果はたかが知れているし効率も
悪い。建築に関わる人すべてが、一定の取り決めに沿ってデジタル情報化する必要がある。
その取り決めがBIMだと考えている。デジタル情報化の効用として設計・生産プロセスの革新、
適応性・受容性の拡大、プロセスの可視化や透明性の確保、叡智の結集、精度の向上、ライフ
サイクルコストの削減などが考えられ、それらが社会性を保つことにつながっていく。10分で
BIMの最前線を伝えるとしたら、皆さんなら何をどのように伝えるだろうか。皆さんの話を聞
いてみたい。