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コラム

今、NFTが熱い!!

2022.04.26

ArchiFuture's Eye               ARX建築研究所 松家 克

昨年のNHK紅白の演出に変化があったらしい。グループ間で認知された差異を意図的に差別
しないジェンダー社会を目指す今、テーマは紅白ではなく「カラフル」だったとか。そこで今
回は、色と切っては切れないストリートアート・グラフィティーアート、チョークアート・黒
板アート、スーパーグラフィック、Non Fungible Tokens=NFT。これらアートとデジタル
の関係について勉強したい。
 
◆まず初めは、ストリートアート・グラフィティーアート。
子供のころにクレオンやチョーク、釘先などで道路や壁に絵を描いた覚えがあるが、この落書
きの延長がストリートアートやグラフィティーアートに繋がっているのでは。ググってみると
歴史はヒップホップ4大要素、ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティの一つとして
1960年代末から1970年代に掛けてニューヨークのブロンクスやゲットー地区でヒップホップ
の歴史と共に始まったとあった。スプレーなどを用いて、電車の車両や高架下の壁公共の場
地下鉄などに描かれる文字や絵のことであり、ストリートアートとも呼ばれゲリラ的に描かれ
ることが特徴だという。公共の場に許可なく描く行為は許されないが、内容は変化を見せてい
るようだ。メッセージ性の強いものもあり、社会に対して反抗的な人たちも含まれ、ややアウ
トロー的な行為のケースもある。
シンプルな人型デザインでお馴染みのキース・へリングやアンディ・ウォーフォーホルとも親
交があったジャン=ミシェル・バスキアもグラフィティ・アートからスタートしている。近年
有名になったのは、ロンドンに出現し、政治色が強く素性不明の覆面アーティスト、バンク
シーである。2018年10月7日にサザビーズオークションへ出品された『赤い風船に手を
伸ばす少女』が、約1億5千万円で落札された直後、額縁に仕掛けられたシダーが作動し
て作品は切断された。かなりの衝撃を世界に与えたアート行為であった。その後、作品の価値
は驚ろくほどに上がったという。最近、日本でも展覧会が何回か開催され話題になっている。

◆チョークアート・黒板アート、スーパーグラフッィック?
日本ではあまり知られていないが、“パサデナ・チョーク・フェスティバル”は、道路に絵を描
くコンテストで知られている。子供からプロまで参加出来、日本のアーティストが1位を獲得
もしたこともあるという。チョークやパステルで描かれた絵を楽しみながら見て回るアート
フェスティバルも面白い。
一方、ムサビが2008年に始めた“旅するムサビプロジェクト”がある。ムサビのホームペー
ジを借りれば、通称名“旅ムサ”は、学生や卒業生が全国各地の小中学校を訪れ授業を実施する
取り組み美術館がない地域の卒業生の美術教諭からの「生徒に本物の美術作品を見せたい!」
という依頼に、学生作品の鑑賞授業を行ったことが契機となりスタートしている。
生徒たちとの「対話型鑑賞」を中心に、黒板にチョークで絵を描き子どもたちを驚かす「黒板
ャック/黒板アート」空き教室を利用した「公開制作」や創造活動を行う「ワークショップ」
など美術の楽しさや多様性を伝えると共に学生自身のコミニケーシン能力やフシリテー
ション能力向上と併せ、関係者全員が共に学び合えるという。これらは学生の自主活動であり、
10年以上続く実績が評価され「2017年度グッドデザイン賞」を美術大学として初受賞。

話は跳ぶ。小生の大学の卒論は「いろいろ=色々」をテーマとし、色彩を意識した日本の代表
的な建築を50年くらい前に巡った磯崎新氏の九州の銀行と教育施設宮脇檀氏の住宅など多
くの建築にグラフィックや色彩を意識したものが見られ、楽しい建築巡りが出来たと今でも記
憶に残っている。色彩で気になるこれらの建築を記録撮影。それを基に、ヨハネス・イッテン
やゲーテなど幾つかの色彩論を参考に建築と色彩について、これらの建築を含めて論文として
纏めた。
当時、注目されていた建築に単なる彩色に留まらず、グラフィックデザインを意識した色使い
もあった。今でも記憶に残っていのはカルフォルニアの週末住宅にグラフィックデザイナーが
参画し壁面に大きなグラフィックパターンを描いた“シ―ランチ”である。この活動は日本にも
上陸し、塗料メーカー工場の煙突に画家の重田良一氏の彩度の高い絵が描かれ鮮やかで目を引
きランドマークの役割を果たした。歴史的にも評価された日本でのスーパーグラフィックスの
初期の例と言える。アメリカ文化センターのインテリアにレイ・コマイ氏がデザインしたスー
パーグラフィックや田中一光氏の軍艦パジャマとも言われた赤坂東急ホテル、竹山実氏の新宿
の一番館・二番館のなども当時話題になった。その後、廃れていったが、最近復活の兆しがあ
るという。
 
◆今、熱いNFT。
耳目を集め目新しい“NFT”であるが、最近、話題になる頻度が高い。ビジネス・産業系の新
聞や朝日新聞、NHKなど多くのメディアやマスコミで採りあげられている。
手や体を動かすアナログ思考中心のアートの世界でもデジタル化が進み、チーム・ラボのデジ
タルアーツやライゾマティクスのプロジェクトマッピングなどがデジタル技術を駆使して魅力
あるアート活動を続けている。
片や絵画や音楽、メディアアート、メタバース、ゲーム、スポーツ、ファッション分野での
NFT=Non Fungible Tokens=非代替性トークンの活用が加速度的に進み始めている。暗号
資産に使われるブロックチェーン技術で、改ざんが難しいNFTをアートに紐付けることで、
その作品の唯一無二性を証明出来、仮に贋作や複製されたものが出回ってもオリジナル作品と
区別出来るとされるが、このNFT特有の“なりすまし”など、課題も見え始めている。
日本経済新聞によれば、国内で初めて「NFTアート」を扱ったオークションが、2021年
10月30日に東京の渋谷で開かれた。映像などのNFT8作品が出品され、会場や電話、ネッ
トでの入札が相次いだ。最も高額で落札されたのは、現代美術家のスプツニ子!の作品だった
という。
一方、3月に米競売大手クリスティーズで、デジタルアート作家のBeepleのNFTアートが約
75億円で落札され、注目を集めた。その後もツイッター創業者の初ツイートが約3億円など人
気は続く。最近の身近な事例では新庄のNFTメディア写真に1,000万の値が付いたという
 
現在、NFTはアートに限らずゲームや音楽、ファッション、スポーツ、他などでメタバース
のアバターなどと組み合わせた販促などで急激に拡がりつつある。
今後は、ビジネス界も巻き込みながらデジタル化による劇的な変化が想定できる。
過熱気味のマーケットを狙う不埒な考えも現れないとは限らないが、今後の進展を注視しなが
ら楽しみたい。

   ムサビの黒板アート① Ⓒ武蔵野美術大学

   ムサビの黒板アート① Ⓒ武蔵野美術大学


   ムサビの黒板アート② Ⓒ武蔵野美術大学

   ムサビの黒板アート② Ⓒ武蔵野美術大学

松家 克 氏

ARX建築研究所 代表 /  武蔵野美術大学 評議員