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コラム

建築情報学会WEEK2023 -当たり前の分野横断-

2023.03.07

パラメトリック・ボイス
                     東京大学 / スタジオノラ 谷口 景一朗


このコラムは「建築情報学会WEEK2023」での発表をオンラインで拝聴しながら書いている。
昨年度に引き続き、2度目の開催となる建築情報学会WEEKはいわゆる学会での大会という位
置づけのイベントであり、今年度は3/4(土)~3/7(火)の4日間にわたり、Mark Foster
Gage氏、Güvenç Özel氏、Marjan Colletti氏のKEYNOTE対談動画公開や建築情報学生レ
ビュー年次学術交流大会ラウンドテーブルセッション(Annual Academic Conference)
など様々なオンラインイベント(一部ハイブリッド開催)が予定されている。


建築情報学生レビューでは3/4(土)終日にわたって、40名の大学生・大学院生が建築情報学
というゆるく大きな枠組みの中で多種多様な研究報告を行った。多くの研究でBIM、VR・AR、
シミュレーション、3Dプリンタ、ロボットアームといった様々な情報学のツールを駆使して
いることは当然である一方で、まちづくりや地方自治体の公共建築、不動産評価や寺の再生な
ど、従来の建築・都市の問題の解決にアプローチをしている研究課題が昨年よりも増えている
ことが大変興味深い。つまり、上記のようなツールの使用自体が研究の目的であったフェーズ
から、ツールとしてより浸透してリアルな社会課題の解決に活用するフェーズに移行しつつあ
る実態の現れであると受け取った。さらには、どの研究課題も当然のように分野横断的な取り
組みが行われていることもとても心強い。同時に、アカデミアの片隅にいる立場として、これ
らの研究を評価する教育体制づくりを進めていくことの重要性がますます問われていることを
再認識する機会となった。
 
残念ながら本コラムの公開日は建築情報学会WEEK2023の最終日のため、ほぼ終了している
が、一部コンテンツは大会終了後も引き続き一般公開されているので、興味がある方はぜひご
覧になっていただきたい。そして、来年度も同時期に開催されるであろうWEEK2024に、今
年以上に多くの方の積極的な参加をお願いしたい。
最後に。建築情報学会では建築情報学の実態を把握するための調査「CENSUS」を実施してい
る。2023年現在での建築情報学の状況を明らかにするだけでなく、今後5~10年と継続的に調
査を行うことで、建築情報学の発展の軌跡を可視化することを目指している。この調査は建築
情報学会非会員の方はもちろんのこと、まだ建築情報学に関する取り組みに個人・組織それぞ
れ着手しきれていない方でも回答いただける(むしろ実態の把握のためには、そういった方々
の回答こそ重要なので是非!)ので、このコラムを読んでいただいている方でまだ調査に回答
いただいていない方はぜひご協力をいただけると幸いです。

 建築情報学会 CENSUS 2023(15分ほどのアンケートです)
 ※上記の画像、キャプションをクリックすると建築情報学会 CENSUS 2023のアンケートページ
  へリンクします。

 建築情報学会 CENSUS 2023(15分ほどのアンケートです)
 ※上記の画像、キャプションをクリックすると建築情報学会 CENSUS 2023のアンケートページ
  へリンクします。

谷口 景一朗 氏

東京大学大学院 特任准教授 / スタジオノラ 共同主宰