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コラム

インタラクティブにBIMを語り合う場
“RUG NIGHT+”

2024.09.10

パラメトリック・ボイス                  日本設計 吉原和正

8月末に『RUG NIGHT+』というイベントが開催されました。
RUG NIGHT+は2020年1月以降休止になっていたRUG NIGHTという週末の夕方に対面で
開催していたイベントを、2年前の2022年7月に再開したもので、今回で7回目の開催になり
ます。
 
このRUG NIGHT+の、“+”の意味合いは、
 ・前回とのひと区切り、アフターコロナにおける刷新
 ・RUGへの新しい関わり方
 ・情報を受け取るだけで無く、お互いに与え合う参加型の場
を意図して名づけられたものになります。
 
Japan Revit User Groupには、意匠・構造・設備の分野ごとに「WG(ワーキング)」や
「TF(タスクフォス)」という会議体があり、各TFリーダーが集い分野間の調整を行う「TF
リーダー会議」や、RUG全体の年次「総会」などもありますが、主催者が一方的に情報発信
参加者はそれを聞きに来るというスタイルが多いなかRUG NIGHT+はそれとは一線を
画して、できるだけインタラクティブに関われる場を意識して開催しているものになります。
 
このRUG NIGHT+のイベントは一緒にRUGの運営を担って頂いている、久米設計の古川さ
んと、東畑建築事務所の山本さんが主導してくれていまして、今回のRUG NIGHT+vol.7の
テーマは、『Revitあるある言いたい選手権と銘打って「Revitの悩みを共有したい・・・
「もっと良いやり方はないものか・・・」、そんな想いを抱くRevitユーザーがグループごと
にお題に沿ったテーマで話し合い、「Revitあるある」を探ってもらうという趣旨で開催され
ました。
 
司会者や審査員、オブザーバーも入れて総勢50名ほどの小ぢんまりとしたイベントでしたが、
参加者をA〜Fの6グループに分けてそれぞれにメンターが付き議論がより活性化する仕掛け
を整えるなど、かなり手の込んだイベントになっていました。
 
進め方としてはグルプ別にお題にそった「Revitあるある」を話し合い発見してもらって、
そのあとグループの代表者に発表してもらい内容を参加者全員に共有し、最後に、審査員が
ジャッジ&解決策を提示した上で、No.1「Revitあるある」を決定。そして、グループ賞や
MVP賞などを景品も添えて授与するという手の込みようです。
 
お題の一つ目は、「Revitで“ヒヤリとした”あるある」。
「バージョン違うんかい‼」といった納品間際の肝を冷やすような体験や、柱を境界線から外
すのを忘れるなどして「面積集計が最後に違っていたことに気づく、あるある」といった苦い
経験。
他にも、「従属」「詳細を含む」「ただの複製」が認識されずにビューの複製ルールが無視さ
れたり、シートから直すとどのタイプかわからなくなってしまっていたり、タイプ名のつけ方
やビュー名のつけ方が無視されフィルターが壊れてしまったり、納品間際の大詰めにギリギリ
で初心者が投入されがち…といった「あとから来た人壊しがち、あるある」という、みんなが
思わず頷く内容もある中でこのお題でグルプ賞を受賞したのはグルプEの「パラメータ
量産、あるある」問題でした。
パラメータが同じ名称でも、新たに違う共有パラメータを作ってしまったことにより、集計表
に値が出てこないという、データベースとしてBIMを扱う上での本質的なあるある(・・・・)が、みんな
の共感を得る結果となりました。
 
お題の二つ目は、「Revitを使って“良かったなぁ”あるある」。
設備ルートや構造フレームなどが(おさまっていないことも含めて)わかりやすく、断面も切り
放題で2Dではわからなかったことが、誰でも「見える!」という意見や「CDE環境(ACC)
に最適なRevitデタのおかげで業務がすごく楽になりました」といったオートデスクに媚を
売ったかのような感想をあげてくれていたグループもある中で、このお題でグループ賞を受賞
したのは、グループCの「もう過去(CAD)には戻れない」という想いでした。
Revitの機能の複雑さも相まってまだ把握できていない未知の機能も多く拡張性が高く、未
来への期待値が高いこと。そして、操作のし易さだけでは“人工”でしか作業量は解決しないの
に対して公開されているAPIを絡めてアドインを作れば“人工”を減らした解決もできるその
ような実感の籠った意見を出して頂きました。
そして、この想いが栄えある第1回のNo.1「Revitあるある」に輝きました。
 
個人賞では、この「もう過去(CAD)には戻れない」を力説してくれた方にMVPが授与され、審
査員特別賞1名、優秀賞3名も表彰させて頂きました。
 
これらの意見以外にも「Revitを使って“良かったなぁ”あるある」について「この会に来れ
たこと!」という、何とも有難い意見を書いてくれたグループもありました。
2D CAD使用時には、他社と設計方法であったり進め方を会話することはほとんどなかったけ
Revitというソフトを通じて操作方法だけでなく、設計の進め方などの技術的な会話をす
る機会も得ることができていて、それだけでも使う価値があります!これからも使います!と
いう想い。
この一言を聞けただけでも、このRUG NIGHT+というイベントを続けてきた甲斐があった
なぁと他のBIM関連団体ではなかなか踏み込めないRevit User Groupならではの活動とし
て大事にしてきた甲斐があったと実感したしだいです。
RUG NIGHT+も回数を重ねて来て、ようやく良い感じのイベントに育てることができてきた
ので、もう数回は今回同様の進め方で開催しようという話になっています。興味を持って頂い
た方、是非、次の機会にはご参加頂ければと思います(RUGに参加頂いた上で)。
また、今年の11月中旬には、昨年に引き続きRUG以外の方も参加可能な『RUGカンファレン
ス』を開催する予定となっています。特別ゲストもお呼びする予定になっていますので、こち
らにも是非ご参加をよろしくお願いします。
 
ユーザー会ならではの、このような活動を中心に取り組んでいるRUGを通じて、BIMに疲弊し
停滞することなく、BIMに前向きに取り組める横の繋がりを広げていけたらと思っている今日
この頃です。

吉原 和正 氏

日本設計 プロジェクト管理部 BIM室長