発表! ArchiFuture Web
2023年人気記事ランキング
2024.02.28
ArchiFuture Web は、2015年4月のオープンから8年10ヵ月が過ぎましたが、建築業界を
中心にさらに認知度が広がっていまして、おかげさまで、建設業界向けのWebメディアの中
で非常に多いページビューを誇っています。
オープンからお正月休みなどを除いて、平日は毎日記事を更新していまして、「最新10行
ニュース」「コラム」「ソリューションニュース」などのすべての記事の掲載本数は、2023年
の1年間で548本となりました。
オープンからもう約9年が経ちますので、記事の本数はさすがに毎年過去最高を更新とはいきま
せんでしたが、1年間の平日の日数で計算すると、昨年は1日平均で約2.3本の記事を掲載したこ
とになります。
各記事・コンテンツの内容については、「コラム」「最新10行ニュース」を中心に、おかげさ
まで、高い評価をいただいています。
では、どの記事・コンテンツが、実際に人気が高かった(ページビューが多かった)のでしょ
う?
そこで、今年も恒例の「ArchiFuture Web 人気記事ランキング」の<2023年版>を発表した
いと思います。気になるランキングのベスト5をArchiFuture Webの中でも人気の高い、
「コラム」「最新10行ニュース」に絞りそれぞれのカテゴリーごとに発表します。
ページビュー(PV)は、掲載日での有利不利がないように、掲載月の翌月末までをカウントして
います。例えば、12月に掲載のコラムは、翌月の1月末までのPVをカウントしました。そのた
め、ランキングの発表が2月になっています。
<コラム人気記事ランキング 2023年分>
第1位「AIと“この原稿”を考えてみた」 日建設計/山梨知彦氏 3月30日掲載
第2位「BIMについて一問一答:ChatGPT編」 前田建設工業/綱川隆司氏 4月6日掲載
第3位「BIMを合理的に活用するためのマインドセット」 日本設計/吉原和正氏 5月9日掲載
第4位「最近の3DCG業務の変化」 隈研吾建築都市設計事務所/松長知宏氏 11月30日掲載
第5位「AIと共に生きるデザイナー」 東京大学/池田靖史氏 6月6日掲載
コラムの年間第1位は、日建設計の山梨知彦氏の「AIと“この原稿”を考えてみた」でした。
山梨氏の2年ぶりの首位奪還となりました。
このコラムでは、AIがどの程度使えるか試すため、山梨氏がこの回の原稿をAIのChatGPTと画
像生成系AIのStable Diffusionと一緒に考えたプロセスを紹介しています。山梨氏とChatGPT
との会話のやり取りを掲載するとともに、それにより得られたキーワードの束を、
Stable Diffusionに読み込ませ、いくつかの工夫を加えました。そうして生成された100枚ほど
の画像を、山梨氏自身の好みで評価し、4枚の画像を選択するまでのプロセスが画像を交えて
丁寧に説明されています。読者がこの一連のプロセスを経験した気持ちになれるコラムで、AI
という道具が建築デザインや施工を変えていく可能性について考えさせられる、建築関係者必
見のコラムです。
続いて、コラムの年間第2位は、前田建設工業の綱川隆司氏の「BIMについて一問一答:
ChatGPT編」でした。綱川氏は前回、初めて年間ベスト5に入りましたが、今回は一気に第2位
へのジャンプアップとなりました。
このコラムも、当時話題になり始めていたChatGPT使って執筆したコラムでした。掲載日が
第1位の山梨氏のコラムと1週間しか違わなかったのですが、綱川氏から原稿が届いたのは
山梨氏のコラムの掲載日の6日前でしたので、たまたま時期が近かったものです。
その1年前に綱川氏が書いたコラム「BIMについて一問一答」を綱川氏が質問側になって話題
のAIに尋ね、その結果のチャットをほぼ原文のまま掲載したコラムですが、ChatGPTをまだ
試したことのある人が少なかった時期だったため、ChatGPTの回答のクオリティの高さが大き
な話題となったコラムです。
コラムの年間第3位は、日本設計の吉原和正氏の「BIMを合理的に活用するためのマインドセッ
ト」が入りました。吉原氏は2年ぶりの年間ベスト5に入りで、過去最高の第3位となりました。
コラムニストの中で唯一の設備設計者である吉原氏はBIM推進の現実を踏まえた独自の視点が
あり、設備設計者だけではなく幅広い読者の方々から高い人気があります。
「どうも最近、BIMを推進している立場の人が、疲れ切っているように感じてなりません(自
分も含めて)」という書き出しで始まるこのコラムは、BIM化を目的にするのではなく、設計
や建設の実務に携わっている人自体が業務を合理化するためにBIMを活用することの重要性に
ついて書かれています。BIM推進の立場の人を応援するとともに、このままでは国内の希少な
BIM人材が疲弊してしまい兼ねない現状に警告を鳴らしたコラムです。
また、コラムの年間第4位は、隈研吾建築都市設計事務所の松長知宏氏の「最近の3DCG業務
の変化」でした。松長氏は初の年間ベスト5に入りとなりました。
有名建築家の設計事務所のCG担当者として入社10年以上のキヤリアを誇る松長氏が、最近感
じている3DCG業務の変化について書いたコラムです。隈研吾建築都市設計事務所では、近
年ほとんどの設計担当者が3Dモデリングソフトを使用するようになり、設計担当者が3Dモデ
リングからビジュアライゼーションまで一貫して行う流れが確立しているといいます。これに
より、役割が大きく変わったCGチームの最近の業務について紹介するとともに、生成AIの使
用の現状と将来についても触れた、大変興味深いコラムです。
コラムの年間第5位は、東京大学の池田靖史氏の「AIと共に生きるデザイナー」でした。前回
年間第1位だった池田氏ですが、残念ながら連覇はなりませんでした。
このコラムも、生成系AIについて書かれたコラムです。このコラムは生成系AIが、建築設計
において、構想の初期段階で発想の幅を広げるための使用や、プレゼンテーションの最終段階
でのインパクト向上のための使用など、さまざまな状況での使用が常態化することにより、AI
の存在が一般的に人間の能力拡張として日常化した社会における人間の能力の評価は、当然の
ことながらハードルが高くなることを指摘。つまり、できて当然なレベルが高く設定されるこ
とになっていく中で、特に若手の設計者らのこれからの「AIと共に生きるデザイナー」として
の覚悟の必要性と、それを明るい未来にする方向性について書かれた、大変センセーショナル
なコラムです。
続いて、最新10行ニュースの人気記事ランキングです。
<最新10行ニュース人気記事ランキング 2023年分>
第1位「日建設計が発注者のBIM活⽤メリットを整理したガイドを無料公開」4月4日掲載
第2位「BIMの新たな資格制度“BIM利用技術者試験”2級を6月19日に開始」6月19日掲載
第3位「西松建設がBIMから高精度の施工図を自動出力するシステムを構築」8月2日掲載
第4位「清水建設が施主向けに竣工BIMデータの新たなサービスを提供へ」3月14日掲載
第5位「BLCJが遂にBIMオブジェクト標準Ver. 2.0をWeb上で公開」12月13日掲載
最新10行ニュースの第1位は、日建設計が発注者のBIM活⽤メリットを整理したガイドを無料
公開したという記事でした。ニュージーランドの団体が作成した資料を日建設計が分析すると
ともに、日本の事情に合わせて翻訳し、さらにイラストと⽂章を⽤いて専⾨知識を持たない発
注者にも直感的でわかりやすい内容にして公開しました。
第2位は、BIMの新たな資格制度「BIM利用技術者試験」2級を昨年6月に開始したという記事
でした。ついにBIMの新たな資格制度となる試験が開始されたというニュースで、大きな話題
となりました。
第3位には、西松建設がBIMから高精度の施工図を自動出力するシステムを構築という記事が
ランクインしました。精度の高い施工図をBIMから自動出力するシステムを構築し、現場で適
用を開始したというものです。同社が、2030年までに施工図を不要とする生産設計BIMの構
築を目指すという点も高い関心を集めたニュースでした。
第4位は、清水建設が施主向けに竣工BIMデータの新たなサービスを提供という記事でした。
施主がクラウドを介して同社が製作した竣工BIMデータを閲覧できる新たなサービスを提供す
るというものです。竣工BIMデータの加工による仮想空間と現実空間のデジタルツイン基盤の
構築や、2次元の竣工図書のBIM化などのサービスも行うとのことでした。
第5位は、BLCJが遂にBIMオブジェクト標準Ver. 2.0をWeb上で公開という記事が入りました。
BIMライブラリ技術研究組合(BLCJ)が公開したこの標準は、BIMの属性情報の標準化を図っ
たもの。英国NBSオブジェクト標準の構造を保持しつつ、日本の技術基準に対応していること
や、分類コードはISO12006-2に基づくUniclassを用いている点も注目を集めました。
まだまだご紹介したい記事・コンテンツがたくさんあるのですが、記事が長くなりすぎますの
で、「コラム」「最新10行ニュース」のベスト5に絞ってご紹介をいたしました。
このベスト5のほかにも面白い記事・コンテンツが多数掲載されています。
「コラム」「最新10行ニュース」「事例紹介」「ソリューションニュース」など、各カテゴ
リーの記事・コンテンツのバックナンバーのタイトルをまずはご覧いただき、気になった記事
をぜひご覧いただければ幸いです。
例えば、「コラム」については、気に入ったコラムニストを見つけて、「コラムニスト一覧」
などから、お気に入りのコラムニストのバックナンバーをすべてご覧になるのもお勧めです。
2024年も、ArchiFuture Webを引き続きご愛読くださいますよう、何卒よろしくお願い申し
上げます。